不動産コラムColumn
7月17日に宅地建物取引業法施行規則を改正、公布した。施行は8月28日
2020/07/30
水害ハザードマップに関する説明を追加
宅建業者は重説時にハザードマップを提示し、取引の相手方に対象物件の所在地について説明することを義務付けた。国土交通省は19年7月にも、不動産業界団体に対して重説時のハザードマップ説明について協力を要請していたが、今回の省令改正によって宅建業者の義務として明確化した。
取引におけるリスク周知だけでなく、”災害に強い街づくり”も国政の重要なテーマだ。前の国会では、6月に「防災・減災」を軸の一つとした改正都市再生特措法が成立。災害リスクの高いエリアにおける開発を抑制し、既存の住居等の移転促進を図っている。
法改正で開発抑止
同改正法では、建築基準法等の規定する災害危険区域等を総称した「災害レッドゾーン」で開発規制を強化したほか、市街化調整区域でも浸水ハザードエリアにおける住宅開発許可を厳格化。立地適正化計画内の居住誘導区域からも災害レッドゾーンを原則除外する。災害リスクのある土地における開発に、法で歯止めをかけていく狙いだ。併せて新制度を創設し、災害ハザードエリアから居住誘導区域への住宅・施設の移転を促す市町村の取り組みを後押しする。
加えて同改正法と同様の趣旨から、4月1日には「集団移転促進事業」についての改正政令が公布、施行されている。同事業実施のために地方の自治体が整備する住宅団地の規模要件を緩和し、国の財政措置を受けやすくした。
このように、災害のリスクの高い地域では「新たに開発しない」「既存の住民等は移転を促す」という両輪の施策で、発災時の被害を未然に防ぐことを目指している。