不動産コラムColumn
地価LOOK第3四半期
「上昇」割合96%で最高更新
国土交通省は11月16日、18年第3四半期版の「地価LOOKレポート」をまとめ、公表した。主要都市の高度利用地を対象に四半期ごとの地価動向を調査し、地価動向の先行的な動きを明らかにするもの。対象は全国100地区。
同レポートによると、地価が上昇した地区の割合は前回から1地区増の96地区。07年の調査開始以来の最高を更新すると同時に、3期連続の9割超を記録した。
同省土地・建設産業局地価調査課地価公示室によると、全体としての傾向は前四半期同様「緩やかな上昇基調が継続」という状況。その主な要因も前回と同じく、「オフィス市況の好調」「再開発事業の進展」「訪日観光客による旺盛な消費・宿泊需要」「利便性の高い地域等でのマンション需要が堅調」とした。
またこれらにより、不動産投資への意欲が引き続き強いためと分析している。
変化は都心が中心
今回地価が3~6%と「比較的高い上昇」を示したのは15地区で、前四半期から2地区増えた。しかし全体としては「緩やかな上昇」という評価で「上昇」96地区のうち81地区(前四半期比1地区減)が上昇率が0~3%の「緩やかな上昇」で大半を占めた。
また前回からの変化を見ると、0%の「横ばい」から「緩やかな上昇」となったのは、東京都の品川、豊洲、立川の3地区で、主にマンション用地の需要の高さなどが背景。
更に、上昇幅が「緩やか」から「比較的高い」に拡大したのは、新宿三丁目(東京都)、歌舞伎町(同)、県庁前(那覇市)の3地区。いずれも、インバウンド観光客の増加と、それに伴う商業・宿泊施設の新設などから、今後も地価の上昇が見込まれる商業エリアとなっている。
一方、表参道(東京都)では「比較的高い」から「緩やかな」へと上昇幅が縮小。銀座中央(同)と大濠(福岡市)では「緩やかな上昇」から「横ばい」へと転じた。
全体として見ると、今回上昇または下落の変化があった地区は、9地区中7地区が東京都内という結果だった。なお、今四半期とその直前には北海道と大阪を中心とした地震のほか、豪雨や台風などの災害により各地で大きな被害が発生したものの、同課は「(調査対象期間末の)10月1日時点では地価への影響は認められない」としている。