不動産コラムColumn
「次世代住宅ポイント」詳細を公表
2月に説明会、発行申請は6月
19年10月に予定されている消費税率の引き上げによる住宅需要の変動を抑制するため、国が進めている対応策の大きな柱の1つが、消費増税後の住宅購入にポイントを付与して費用の一部を還元する制度だ。前回の消費増税時には「省エネ住宅ポイント制度」として運用された施策を拡充し、今回は「次世代住宅ポイント制度」として創設、運用する。
18年12月21日に閣議決定された「次世代住宅ポイント制度」の19年度予算額は1300億円で、5%から8%への消費増税時の905億円(15年度予算額)よりも約4割拡大。新築住宅(貸家を除く)は1戸当たり最大35万ポイント、リフォームは原則最大30万ポイントを付与し、1ポイントは1円相当として商品などと交換できる。
対象も「省エネ性能」に絞っていた前回から拡充。環境、安全・安心、高齢者対応、子育て支援などにつながる新築・リフォームへと広げた。
ポイントは項目加算
ポイント付与の基準を詳しく見ると、まずは新築の場合は一定の基準を満たす住宅に「標準ポイント」として戸当たり30万ポイントを付与。そしてZEHや長期優良住宅など、より高い基準に適合すれば「優良ポイント」として5万ポイントを加算する。
更に「オプションポイント」の項目も設け、「耐震性のない住宅の建て替え」に15万ポイントのほか、ビルトイン食器洗機や浴室乾燥機、宅配ボックスなどの「家事負担軽減設備」に9000~1万8000ポイントを付与。ただし、これら3種類のポイントの合計の上限が戸当たり35万ポイントとなっている。
リフォームの場合はより細かく基準が設定されており、「耐震改修」15万ポイントをはじめ、「エコ住宅設備(節水型トイレ)」1万6000ポイントや「バリアフリー改修(手すり)」5000ポイントといった項目を加算していき、戸当たりの上限が30万ポイントとなる。また既存住宅を購入してリフォームを行う場合は、一部を除きポイントが2倍でカウントされる。
加えて、リフォームには上限の特例が複数用意されている。一つは若者・子育て世代の特例で、購入者が40歳未満、または18歳未満の子を有する世帯の場合は上限が45万ポイントとなり、更に既存住宅の購入を伴う場合は上限を60万ポイントに引き上げる。また住宅購入者の属性にかかわらず、安心R住宅を購入してリフォームを行う場合も上限は45万ポイントとなる。
なお、いずれも戸当たりの合計ポイント数が2万ポイント未満の場合は申請不可。
10月以降引き渡しが対象
ポイント付与の対象となる住宅の契約期間は、新築注文住宅とリフォームが19年4月から20年3月までに請負契約と着工を行ったもの。ただし、19年3月までに請負契約を締結した住宅でも、着工が19年10月から20年3月となるものは特例としてポイント付与の対象とする。
また、分譲住宅については、20年3月までに請負契約・着工し、かつ売買契約を締結したものか、18年12月21日時点で完成済みの新築住宅で、20年3月までに売買契約を締結したものに限る。
引渡し時期については、いずれの住宅も19年10月以降の引き渡しが条件となる。
交換商品は今後公募
国土交通省では2月に事業者などへ向けた制度の説明会を実施するほか、制度運営のための事務局を開設する予定。またポイントの発行申請は6月ごろ、交換申請は10月ごろとなる見通し。
取得したポイントを交換できる商品は、現在のところ未定。今後、準備が整い次第公募を行う計画で、「省エネ・環境配慮に優れたもの」「防災関連」「健康関連」「子育て関連」といった商品を中心に選定する方針だ。