不動産コラムColumn
長期優良住宅の法改正案
第204回通常国会が1月18日に開会し、政府は合わせて今国会に提出する予定の法案を明らかにした。住宅・不動産業界からの注目度が高い国土交通省関連法案としては、まず「長期優良住宅普及促進法改正案(仮称)」が挙げられる。また「特定都市河川浸水被害対策法等改正案」も街づくりとの関わりは深い。更に法務省所轄分野の法案として、所有者不明土地(不明地)への対策を図る新法案と民法等改正案も提出される予定だ。
「住宅の質の向上及び円滑な取引環境の整備のための長期優良住宅の普及の促進に関する法律等の一部を改正する法律案(仮称)」(長期優良住宅普及促進法改正案)は、09年6月の同法施行から10年経過を機に進められてきた、見直しのための議論を長期優良住宅制度に反映する法改正案。分譲マンション等の認定の基準や単位、手続きなどの改定が柱となる見込みだ。また「長期優良住宅維持保全計画(仮称)」の創設や、登録住宅性能評価機関の活用による認定審査の合理化なども盛り込まれる予定だ。
「特定都市河川浸水被害対策法等改正案」は、近年の水災害による甚大な被害を受け、都市部における洪水等への対策を強化するもの。流域全体の関連主体が連携して水害対策に取り組む、「流域治水」を踏まえた施策の具体化を図る。同法に基づく「特定都市河川」の指定対象を拡大すると共に、同河川流域における開発規制を設ける。これら2法改正案は、いずれも2月上旬に国会へ提出予定。
相続土地の放棄制度も
法務省関連の法案として、不明地の発生抑制に向けた「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案(仮称)」(相続土地放棄法案)と、不明地の管理適正化を主軸とした「民法等の一部を改正する法律案」(民法等改正案)も2月下旬に提出予定。同省法制審議会民法・不動産登記法部会の検討を踏まえ、制度や規定などの整備を行う。
「相続土地放棄法案(仮称)」は、土地が相続等の際に不明地となるケースが多いことに鑑み、相続土地の所有権を国庫に帰属させられる制度を創設する新法案。同部会で「いわゆる土地所有権の放棄」として検討されていた制度で、相続等により取得した一定の条件を満たす土地に限り、所定の負担金等を支払うことで土地の所有権を放棄することが可能となる見込み。
民法等改正案も同じく不明地対策のための法改正案。新たな規定を創設し、相続等による移転登記の申請を相続人に義務付ける。また裁判所が不明地の「管理人」を選定し、管理を命じる「所有者不明土地管理命令(仮称)」制度を創設する方針だ。
内閣からはこのほか、建築基準法や農地法の特例措置を追加・延長する「国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案」を2月中旬に提出。また重要施設(仮称)の周辺などで、土地取引等の規制を設ける「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案(仮称)」を3月上旬に提出する。