不動産コラムColumn
登記データ利用の指標案示す 既存住宅販売量の把握へ検証
2020/03/05
国土交通省は2月21日、「不動産市場のマクロ・ミクロ的な分析向上に向けた研究会」(座長・清水千弘日本大学教授)の第2回会合を開いた。
同研究会は19年9月の初会合で、新たなマクロ的市場分析として「既存住宅流通量の指標」を新たに整備する方針を示した。そして所有権移転登記件数により不動産取引の総量は把握できるものの、その中には非住宅や新築建物の売買、分割登記なども含まれるため、既存住宅取引の適切な把握へ向けた登記データの分類が課題とされていた。
そこで同研究会は、「既存住宅販売量指数(案)」として、地域、面積、区分または一般といった項目で分類したサブインデックスの指標を作成し、それぞれの分類について暫定値を算出して検証。また登記データのうち、一定の個人が買主である件数を「既存住宅販売量(案)」と定義し、総務省の住宅・土地統計調査(住調)のうち「既存建物取引量」との比較も行った。
それによると、「指数(案)」は地域間の動向に明確な違いや特徴が見られたほか、住調の「取引量」データの時系列の動向と密接な相関関係を示した。そのため同研究会では、「販売量(案)」が「既存住宅の対個人販売量を表す指標として、不動産政策上、一定の意義を有するものでないか」(同省)と考察した。
ただし、今回の「販売量(案)」は抽出データの選定上、セカンドハウスや別荘、投資用物件なども含む。
また「販売量」は登記データ全数を基にしたものであり、既存住宅販売の動向を月単位など短期的に把握する指標と位置付け、20年度から試行的に公表していく方針を提示。月次公表を速報値とし、半年から1年ごとに対象外データの精密な除去や分離を行い、確報値として公表することが妥当と判断している。