不動産コラムColumn
心理的瑕疵への対応指針を
2020/02/10
国土交通省は2月5日、「不動産取引における心理的瑕疵に関する検討会」を立ち上げ、初会合を開いた。
不動産物件における過去の死亡事故など、いわゆる心理的瑕疵(かし)への対応取り扱いは、取引における長年の課題となっている。そこで同省は今回、既存住宅市場の活性化などを図るため、不動産取引における心理的瑕疵に関する適切な告知や取り扱いの基準となるガイドラインの作成に向け、有識者による検討会を発足した。
同検討会の座長は、明海大学不動産学部長の中城康彦氏が務める。そのほか、不動産流通業界や賃貸住宅管理業界の団体役員、弁護士などが委員として名を連ねる。
同会合の冒頭、同省不動産業課の須藤明夫課長は「不動産取引における死亡事故などの説明は大きいテーマながら、現在のところその判断基準となる指針が存在せず、円滑な取引と既存住宅流通市場の活性化の阻害要因となっている。取引の関係者等の利益確保を前提に、心理的瑕疵に係る適切な告知や取り扱いについてのガイドラインの検討に向けて、ぜひ活発な意見を」と発足の趣旨を述べた。
また中城座長は、「不動産の心理的瑕疵は昔からの課題であり、いったんそういった事象が起こると解決のために多大な労力と長い時間、経済的な負担も要する上に、所有者、利用者、地域、不動産業者らも巻き込んで負の連鎖を起こす。不動産の活用を目指す関係者らが、前向きに取り組むことができる環境を整えるため、しっかりと検討を進めたい。」と意欲を示した。