不動産コラムColumn
売買重説書など電子化 宅建業関連は22年施行見通し
政府は2月9日、デジタル社会の形成に向けた3法案を閣議決定し、国会に提出した。土台となる方向性を規定する「デジタル社会形成基本法案」、内閣にデジタル庁を創設するための「デジタル庁設置法案」、そして行政手続きのデジタル化へ向け関連法案を一括で改正する「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案」(デジタル関連改正法案)の3件。
このうち、特に事業者の実務への大きな影響が想定されるのはデジタル関連改正法案だ。行政手続きや契約等の際、押印や書面の交付等を求めている48の法律を一括で改正するもの。
宅地建物取引業法については、34条(媒介契約)、35条(重要事項説明)、37条(不動産取引契約)に基づく各書面について、紙の書面に代えて電磁的方法による提供(デジタル交付)を認め、宅地建物取引士の押印を不要とする。
現在も社会実験が進められている、宅建業における各種書面のデジタル化へ向け、法的根拠を整備する形だ。
同様に、マンション管理適正化法の管理委託契約、区分所有法の催告等、借地借家法の賃貸借契約などについても書面のデジタル化や押印義務の撤廃を定める。そのほかにも建設業法、建築士法、土地改良法、土地区画整理法なども改正する。
同法が成立した場合、原則として9月1日に施行される。ただし、宅建業法に係る改正点については公布から1年以内の施行とし、一定の猶予を持たせた。またマンション管理適正化法に係る改正は、20年6月に成立した老朽マンション対策関連法の施行日と同日とする。
なお、デジタル社会基本法案では”デジタル社会”の定義とその実現に向けた基本理念、行政と事業者の責務などを規定。デジタル庁設置法案では、内閣総理大臣を長とした同庁の組織体制や所管事務の範囲を定める。いずれの法案も、成立時は9月1日に施行される。