不動産コラムColumn

国交省地価LOOK20年第4四半期

2021/03/05 

「上昇」地区が前四半期比14増
国土交通省は2月24日、20年第4四半期版(21年1月1日時点)の「地価LOOKレポート」をまとめ、公表した。

 

主要都市の高度利用地として全国100地区を対象に、四半期ごとに実施している地価動向調査で、地価の先行的な動向を明らかにするものと位置付けられている。

 

今回のレポートでは、新型コロナウイルス感染症の影響により地価下落傾向が鮮明となった直近の2四半期と比べ、地価が上昇に転じる動きが観測された。地価が「上昇」した地区は15地区(前四半期比14地区増)、「横ばい」は47地区(同7地区減)、「下落」は38地区(同7地区減)。

 

また、「下落」から「上昇」、あるいは「横ばい」から「下落」といった変動率区分の移行状況を見ると、67地区で不変、27地区で上方に移行、6地区で下方に移行となっており、地価の上昇傾向を示した地区の割合のほうが多い。全体として見ると、下落傾向の地区のほうが依然として多いものの、ある程度土地需要の回復もうかがわせる結果となった。

 

取引堅調は主に住宅地
ただし、土地需要の動向にはエリアごとの濃淡も強い。

 

同省によると、住宅地における変動率区分の下方移行はゼロであり、「マンションの堅調な販売状況や事業者の素地取得の動きの回復により、需要が堅調な地区が見られる」という。

 

一方、所業地では変動率区分の上方移行が17地区、下方移行が6地区。一部地域で再開発の進展などによる需要回復もありつつ、「ホテルや店舗棟の収益性低下により下落が継続している地区や、オフィス等の空室増により新たに下落に転じた地区も見られる」(同省)として、商業地における需要減退は続いているとの見解を示した。

 

なお、3月中旬に公表される見込みの21年地価公示は、今回の同レポートと同じ21年1月1日を基準日として調査している。そのため地価公示でも、主要地区である程度同レポートと近い結果を示すことが想定される。

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