不動産コラムColumn

不明地特措法が全面施行

2019/03/23 

6月1日には、18年6月に成立した「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」が全面施行される。

 

近年社会問題化している所有者不明土地(不明地)への対策を目的とした法律。18年11月、土地の所有者探索合理化や適正管理に関する規定の部分については先んじて施行されていたが、19年度は同措置法の最大の柱である「地域福利増進事業」が始動する。

 

同事業は、不明地の円滑な利用を促すために創設された制度。地域団体や民間事業者などが不明地を公共の福祉・利便増進目的で利用する場合、都道府県知事が上限10年の利用権を設定できるというもの。利用権設定後に所有者が明け渡しを求めた場合は、期間終了後に現状回復する必要があるものの、現れなければそのまま延長も可能だ。

 

対象となる事業は、公園や緑地、広場などコミュニティ施設のほか、医療施設や社会福祉施設、教育施設、公民館、図書館、被災者用住宅、道路、駐車場など。国土交通省は同事業における利用権の設定数について施行後10年間で100件を目標としている。

 

また、6月1日には、同措置法の「土地収用法の特例」も施行される。道路など公共事業の手続きの合理化・円滑化を目指したもの。反対する所有者がおらず現在利用されていない土地は、収用委員会に代わり都道府県知事が裁定することで手続きの過程を短縮し、行政が所有権をスムーズに取得できるようにするという特例だ。同省は同特例により、不明地の収用手続きに要する期間を約3分の1に削減する効果を見込んでいる。

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