不動産コラムColumn

フラット35 不正105件確認

2019/09/16 

住金機構 一括返済を要求
5月、自己が居住する住宅取得に用途が限られている「フラット35」について、一部報道や住宅金融支援機構の発表などにより、100件以上にも上る不正利用の疑いが発覚した。この事案について調査を進めていた同機構が8月30日、書類精査や居住実態調査、申請者への面談などによる調査結果を公表した。

 

調査対象となったのは不適正利用の疑いのある融資113件で、このうち105件については不正利用の事実を確認。1件は住宅購入価格の水増しのみで、そのほかすべてが住宅購入価格の水増しに加え、投資目的の利用だった。

 

残り8件は、申請者への面談に長期間を要するもののほか、面談拒否または無反応のケースもあるが、同機構は「面談困難な案件も、書類精査や居住実態調査から不正認定せざるを得ない」とし、調査や対処を進めていく。

 

不正利用には、投資物件購入を勧誘する紹介者、特定の売主の社員、不動産仲介業者、サブリース事業者等が結託した事業者グループが関与。更にこれまでの調査の過程で、同じ”売主の社員”と別の不動産仲介事業者が不正に関与したと思われるケースが新たに49件発覚しており、同機構が調査を進めている。

 

不正が発覚した案件について、同機構は借入金の一括返済を求め、場合によっては不動産競売手続きなど法的措置も含めた対処を行う方針。また関与した事業者等に対しては「関係機関の調査等に資料提供などで協力していく」(同機構)としている。

 

事案の発覚以降、同機構は再発防止へ向け、ホームページや新聞広告などで注意喚起し、「フラット35」の利用条件について周知を図っている。また金融機関への働きかけや融資審査の強化も行っているほか、4月からは借り入れ申し込みの際の面談でも直接説明し、申請者に書面への署名押印を求めている。

 

関与宅建業者へ対処
石井啓一国土交通大臣は9月3日の会見で、同不正事案について言及。関与した宅地建物取引業者の免許行政庁でも事実確認を進めており、宅建業法に基づく対処を行っていく方針を明らかにした。

また、「フラット35」は住宅取得政策の位置付けから、金利を引き下げるため国の補助金が充てられている。石井大臣は「疑いのある162件中157件で、合計約2100万円の補助金が活用されており、同機構からは、不適切な支出が確認されたものについては補助金を返還すると聞いている」と語った。

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