2017年12月16日

所有者不明土地 地域福利事業に利用権

土地収用に特例設定 公園や文化施設など対象

国土交通省は12月5日、所有者不明土地問題に対応するための制度作りに関して、検討を続けていた特別部会で中間とりまとめ案を示した。第3回国土審議会土地政策分科会特別部会が開かれ、審議が行われた。

同案は所有者の判明しない土地を円滑に利用できるよう制度を設ける内容。従来の土地収用制度に特例を設けると共に同制度の対象とならない公共的事業についても実施を円滑にする。

制度で対象に組み込むのは民間事業者が行う地域住民のための公共的事業。公園、緑地、広場などについて、民間主体で行うものも収用適格事業となる。現行では公共主体の場合に限り適格。また、収用制度の対象ではない購買施設や文化教養施設なども対象に組み込む。収益性があるものも含め、地域住民の福利増進につながるものを認める。これについては事業の定義や判断基準を法令などにより明確化が必要とされた。更に収用適格事業のうち、一定期間で原状回復が可能な仮設道路、仮設園舎、駐車場なども対象となる。

手法としては、これらの事業について最低でも5年間の土地の利用権を設定する。事業裁定は都道府県知事が行う。登記簿、住民票、戸籍などの公的書類で所有権を調査。固定資産課税台帳、地籍調査票、インフラ業者保有情報などを行政機関が利用可能とし、地元精通者にも行っていた聞き取り調査を親族などに限定して範囲を合理化する。

利用権は反対する所有者がなく、補償算定が困難となる建築物が存在しない土地に設定可能。設定後、所有者が現れ、明け渡しを求めた場合には期間終了後に原状回復。異議がない場合には延長が可能。土地収用法の特例については、これまで国、都道府県の枢要事業認定に続いて収用委員会が裁決していたものを都道府県知事の裁定とし、審理手続きを省略して一本化する。

国は今後、地方公共団体に対して用地取得事務のノウハウを提供。精通する職員を派遣、また整備局や地方から成る協議会を組織し、相談に対応する。

長期相続登記未了土地の解消措置として不動産登記法に特例を用い、登記官が職権で登記に同土地であることを明記する。更に相続人を調査し、登記手続きを促す。

同省では、来年の通常国会で、このとりまとめを基とする法案の提出に臨む。

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